「味噌汁とごっとるで、かきまぜてから飲んでなあ」
このように使われる「とごる」という言葉をご存じでしょうか?
「とごる」は三重県で日常的に使われる方言です。
三重県では、ほとんどの人が方言だと思わずに使っていますが、他の県の人にはわかりにくい言葉だと思います。
今回は、この「とごる」の意味や使い方について解説します。
「とごる」とは?
「とごる」は、標準語でいうと、「沈殿する」という意味です。
しかし、「とごる」は、理科の実験などの化学反応をイメージさせる「沈殿」という言葉とはだいぶニュアンスが違います。
この「とごる」はもっと日常的に使われる言葉で、「味噌汁やココアといった液体の底に、混ざったものが溶けきれずに下にたまる」状態を表します。
標準語にはこの状態を表すのに適当な言葉がないため、多くの三重県民は、「とごる」を標準語だと思って使用しています。
とごるって三重県だけなんかな?他県のみんななんて言うん? RT @Mie_bot_jp: 【方言】とごる(動):沈殿して下に溜まっている様子。溶けきっていないもやもやっとしたものが下のほうに集まっている状態で、沈殿よりももうすこしふわふわ浮いているイメージです。
— ゆきんこ (@yukinko_50) September 7, 2013
「とごる」圏内の三重県南部出身です。私も方言とは思ってなくて千葉で通じず驚きました。
「じゃあ溶け残って底に溜まることを何て言うの?」ってきいたら「え、底に溜まるって言うけど」って。— けも (@kemonomomonoke) September 14, 2019
「とごる」の語源
「とごる」の語源は諸説ありますが、停滞するという意味の「滞る(とどこおる)」から来たという説が有力です。
また、かたまって固くなるという意味の「凝る(こごる)」ではないかという説もあります。
「煮凝り(にこごり)」という言葉もあるので、その説も捨てがたい感じがしますね。
では次に、「とごる」の使い方をみていきましょう。
「とごる」の使い方
「とごる」は以下のように使います。
①「ココアがとごっとるからもっとかきまぜなアカンで」
標準語訳:「ココアが溶け残ってるからもっとかきまぜないとだめだよ」
②「ドレッシングとごってるから、よくふってからかけてな」
標準語訳:「ドレッシングが分離してるから、よくふってからかけてね」
③「お風呂の入浴剤とごってるとあかんから、よくかきまぜてからはいってなー。」
標準語訳:「お風呂の入浴剤、下に残ってるといけないから、よくかきまぜてから入ってね。」
このように、「とごる」は液体の底に粉末が溶け残っている状態や、ドレッシングなどが分離している状態、また、食べ物、飲み物以外の液体にも使うことのできる、とても便利な言葉です。
ぜひ「とごる」の意味を覚えて、使ってみてくださいね。
「とごる」まとめ
ここまで方言の「とごる」についてみてきましたがいかがだったでしょうか?
最後に「とごる」についてまとめておきます。
・「とごる」は標準語で「沈殿する」という意味だが、ニュアンスはかなり違う。
・「とごる」の語源は、「滞る(とどこおる)」または、「凝る(こごる)」から来たというのが有力な説である。
以上三重方言「とごる」の解説でした。