「うらに回覧版持って行ってー」
このように使われる「うら」という言葉をご存じでしょうか?
「うら」は主に栃木県で使われる言葉です。
他の地域の方には通じにくいと思います。
今回はこの「うら」の意味や使い方について解説します。
栃木方言の『うら』とは?
栃木の方言として使われる「うら」は標準語で「うしろ」という意味です。
栃木では「前」の反対は「うら」です。
「後ろ」と言われても意味は分かりますが、一般的に「うら」を使います。
表と裏の「裏」も「うら」といいます。
もし、友達の車に乗る時
「うら乗って」
って言われたら、「うら」って何?
ってなりますか?教えて欲しいです。— 〆_⛑ (@28_ran_28) October 29, 2019
おはフタバー☀️
今日は #方言の日 ★栃木の方言はいろいろありますが、最初聞いてびっくりしてのは、
“後ろ”のことを“うら”っていう方言でした!
友人に「うらの席座ろう」といわれて、一体どこに行くつもりなのかと・・・!笑
栃木っておもしろいなぁ(∩´∀`∩)♪今日もよろしくお願いします♪ pic.twitter.com/jwZW8pjTXO
— フタバ食品/サクレ (@FUTABA_SACRE) February 17, 2020
ざっくりとした後方を表すときに、「うらの方」という言い方もよくします。
栃木県では「後方」「後ろの方」という意味なので、「家のうらの方」「うらの方の席」という言い方も一般的です。
標準語で裏は表の反対なので、「裏面、「裏側」と使うことが多いでしょう。
栃木方言の『うら』を使った言葉と反対語
よく使う「うら」の表現を反対の意味の言葉と一緒にご紹介します。
・前の黒板―うらの黒板
・前の席―うらの席
・前髪―うらの髪
・前の家―うらの家 (「うら」だけでも「後ろの家」という意味)
・前の畑―うらの畑
・学校の前―学校のうら(悪い意味はなく、建物の後方)
・前の駐車場―うらの駐車場
次は「うら」の使い方を例文でみていきます。
栃木方言の『うら』の使い方
「うら」は以下のように使います。
①プリントうら回してー
標準語訳:プリントを後ろの席に回してください。
これが通じなかった時、衝撃を受けました。
ここでは、プリントの「裏面」という意味ではなく、「後ろの席」という意味で使っています。
同様に「うらの人プリント集めてください」は「後ろの席の人」という意味です。
②うら乗ってくかい?
標準語訳:(車やバイクの)後部座席に乗っていくかい?
「乗ってぐ」と発音するとネイティブ度が高まります。
③おらじのうらには三人家族が引っ越してきたんだと。
標準語訳:我が家の後ろの家には三人家族が引っ越してきたんだって。
「おらじ」は「わたしの家」という意味です。「おらげ」という人もいます。
方言『うら』のまとめ
いかがだったでしょうか。
まとめると
・とちぎの方言「うら」は「後ろ」の意味
・前の反対は「うら」
・よく使う「うら」の意味は「後ろの席」や「後ろの家」
栃木県民は「前・後・裏・表」の空間概念が他県民と違うので、標準語でどれが「うら」というのかよく分かっていない人が多いのではないでしょうか。
「表の入口、裏の入口」「表通り、裏通り」は標準語でも使うので、余計に混乱します。
栃木県で「うらの人」と聞いても、「裏組織の人」ではなく、ただ「後方にいる人」のことですので、安心してくださいね。