『まさか違うね、都会の人は』
このように使われる「まさか」という言葉をご存じでしょうか?
「まさか」は主に栃木で使われる方言です。
他の地域の方が思っている「まさか」の意味とは異なります。
今回はこの「まさか」の意味や使い方について解説します。
栃木方言の『まさか』とは?
栃木の方言として使われる「まさか」は標準語で「さすが、やっぱり」という意味です。
標準語で驚いたときに使う「まさか」ではありません。
もちろん栃木でも「信じられないこと」に対して「まさか~」と使うことがあります。
しかし、栃木特有で「予想はしていたものの改めてそのすごさを認識したとき」に使います。
「まさか」という言葉は、共通語では「まさかそんなことはない」などといって予期しない意味に用い、下に必ず「ない」等という否定の言葉を伴うものである。しかし、栃木方言では、「まさかうまいものだ」「まさか先生だ」というように「甚だ」「さすがに」という意味で使われることがある。
— T_Horikawa (@wakasagikokutai) June 2, 2011
うちの父親は栃木県出身で、父方祖父母は味噌汁のことを「おみおつけ」って言います。ちなみに服のことは「おべべ」、very(とても、すごく、かなり)のことは「まさか」って言います。 うちのばあちゃんが「まさか可愛い」って言ったら、「めっちゃ可愛いね」って意味。栃木にも方言あるんだよ。
— めりこ (@K0meleon) February 10, 2011
まさか「まさか」が方言なんて!と驚いている栃木県も多いでしょう。
標準語でも「まさか」という単語があるので、「?」と思われても、訂正されることなく過ごしてしまう場合が多いからです。
次は「まさか」の使い方をみていきます。
栃木方言の『まさか』の使い方
「まさか」は以下のように使います。
例①「まさか長年野球をやってる人は、フォームが違うね。」
標準語訳:さすが長年野球をやっている人は、フォームが違うね。
会話で使う場合は「まっさか」と小さい「っ」を入れて、尊敬の念を込めます。
例②「まさか帰国子女は英語の発音がきれいだなや。」
標準語訳:やっぱり帰国子女は英語の発音がきれいだなぁ。
尊敬の気持ち、驚き、そして少しの皮肉を感じます。
③「スカイツリーはまさか高いね。」
標準語訳:さすがスカイツリーは高いね。
栃木方言の『まさか』を使うときの注意点
「まさか」はむやみやたらに使ってはいけません。
ここでは使い方の注意点をご紹介します。
①「まさか」だけでは使わない。
標準語の「まさか」は「信じられない」というときに「まさか・・・」といいますが、栃木方言の「まさか」は「まっさか・・・」とは使わないのです。
「さすがだね」という意味で「まさかだね」も意味が通じません。
「まさか違うね、○○やっている人は」「まさか○○は違うなや」が一番自然な使い方です。
②「まさか」には皮肉も含まれる
栃木方言の「まさか」は90%尊敬 10%嫌味だと思った方がいいでしょう。
「まさか違うね、都会の人は。」と言われたら「やっぱり都会の人はすごいね」という誉め言葉の裏に「都会ぶっているな」「調子に乗るな」という気持ちが少し入ります。
「自分のできないことをあの人はできて悔しい、すごい」という意味が近いでしょうか。
もちろん人によって100%尊敬して使う人もいますが、手放しで喜ばないほうがいいでしょう。
栃木方言『まさか』のまとめ
ここまで栃木方言の「まさか」についてみてきましたがいかがだったでしょうか。
最後に「まさか」についてまとめておきます。
・栃木方言の「まさか」は「さすが、やっぱり」という意味。
・「まさか」には嫌味が含まれる場合がある。
「まさか」のニュアンスは標準語では表現することができず、なかなか歯がゆい思いをします。
ちょっと皮肉を込めて言いたいとき、「まさか」を使って栃木の友人や上司をヨイショしましょう。
以上、栃木の方言「まさか」の解説でした。