「そんなんできやんやん?」
このように使われる「やん」という言葉をご存じでしょうか?
三重県でよく耳にするこの言葉、他の県の人には意味がわかりにくいと思います。
今回はこの「やん」の意味や使い方について解説します。
三重方言「やん」とは?
三重県で使われる「やん」には、文法的にも違う二つの意味があります。
①動詞について、「否定」の意味になる「やん」。
標準語「~ない」と同じ意味です。
例 できやん → できない しやん → しない
②文の最後について「強意」を表す「やん」。
標準語の「~じゃないか!」「~だよ!」や、「でしょ?」「~だよね?」に近い感じです。
文脈やイントネーションの違いで、強意になったり、同意を求める意味になったりします。
別アカで三重県の方言に関するツイートが流れてきたから
こっちに書いておこう。笑
三重県の人は「できない」を「できやん」と言い、「できないです」を「できやんやん」と言う
本当かどうかは三重県に来てのお楽しみ。笑
— ユズきゃん@あつ森始めました (@yuzukyan0910) July 24, 2019
この二つの「やん」は、「できやんやん」のように、重ねて使うことも多いです。
「できやんやん」 → でき/やん(否定)/やん(強意)です。
標準語の、でき/ない/よね の意味になります。
「やんやん」という中華料理屋の名前でも、パンダの名前でもありませんので、気を付けてください!
否定の「やん」の注意点
否定の「~やん」には、使い方に注意点があります。
それは、「五段活用の動詞には使わない」ということです。五段活用の動詞とは、「~ない」をつけたとき、「ア行」の形に活用する動詞のことです。
例
標準語「書かない」→ 三重弁 ×「書かやん」 〇「書かへん」
標準語「知らない」→ 三重弁 ×「知らやん」 〇「知らへん」
このように、五段活用の動詞を否定したいときは、三重弁では「やん」の代わりに「へん」を使います。
「へん」は関西弁でよく使う言葉です。
では次に、「やん」の使い方をみていきましょう。
「やん」の使い方
「やん」は以下のように使います。
①「今日は、燃えやんゴミの日やった!」
標準語訳:「今日は燃えないゴミの日だった!」
否定の「やん」。県外の人からよく面白がられる言い方です。
②「さぼってばっかりおったらあかんやん!」
標準語訳:「さぼってばかりいたらだめじゃないか!」
強意の「やん」。語尾をあげると同意を求める意味になり、標準語でいうと「だめだよね?」という感じになります。
③「そんなこと、誰もしやんやん!」
標準語訳:「そんなこと、誰もしないだろ!」
否定と強意が重なった形。これが使いこなせるようになったら、立派な三重県人です。
三重方言「やん」のまとめ
最後に「やん」についてまとめておきます。
・「やん」には、「~ない」という意味の否定の「やん」と、「~でしょ?」「~だよ!」といった意味の強意の「やん」がある。
・否定のやんは、五段活用の動詞には使わない。
・「できやんやん」のように、二つのやんを重ねて使うことも多い。
以上方言「やん」の解説でした。