『農作業は立ち仕事ばかりで、腰がやおいかんばい』
このように使われる「やおいかん」という言葉をご存じでしょうか。
これは、主に熊本県で使用される方言で、熊本県内であれば地域を問わず、また福岡県でも使用されている方言です。
今回はこの「やおいかん」を解説いたします。
熊本弁の方言「やおいかん」の意味
「やおいかん」は「簡単にはいかない、きつい、大変である」という意味です。
語源は古語の「やわらかくいかない」が名残。
「やわらかい」は「簡単」という意味で使用されており、それが省略される形で「やおいかん」という方言が成り立ちました。
やおいかん現場ばっかりだーーー!
道路の問題だったり、下水がなかったり、何だかんだありますなー。
一歩一歩進むしかない。 pic.twitter.com/m5jtA66TdW— 有江竜児 (@9ponta) April 23, 2020
「やおいかん」の類語「とつけむにゃあ」
熊本県では馴染みのある「やおいかん」ですが、熊本県でも主に山間部のほうでは、類語の方言「とつけむにゃあ」という言葉もあります
この方言は「とんでもない」を意味しており、「やおいかん」よりもさらに「大変さが増している」ことが特徴です。
2019年のNHK大河ドラマ「いだてん」の中で度々この言葉は登場していました。
また「とつけむにゃあ男」といった使用例もあり、主に男性の誉め言葉として「勇ましい・破天荒である」という意味で使われています。
一方で「あの男はやおいかんなぁ」という場合は、「気難しい、大変な男だ」とネガティブな意味合いになります。
類語でも、微妙にニュアンスの違いがこのようにあります。
旦那さんも、スヤさんが本当に好きだった人が誰か分かってるんだな…しかも彼女が丈夫だからじゃなくて、ちゃんと愛してる。
「とつけむにゃあ男」って、熊本では最上の褒め言葉だよね。自分は大人になっても病弱のままなのに、国の英雄になろうとする男を恨み言なしに褒められるいい人だ…#いだてん pic.twitter.com/z7TRSiGcGz— かかまつ (@kakamatsukk) March 24, 2019
次は「やおいかん」の使い方をみていきます。
「やおいかん」の使い方
やおいかんは以下のように使用します。
やおいかんの使い方①
「農作業は立ち仕事ばかりで、腰がやおいかんばい」
標準語:「農作業は立ち仕事ばかりで、腰が(痛くて)大変だよ。」
最も一般的な「やおいかん」の使用例です。また語尾の「ばい」は、九州北部独自の「~だよ」を意味する方言です。
やおいかんの使い方②
「やおいかんこつ社会だけど、がまだすばい!」
標準語:「簡単にはいかない社会だけど、がんばっていこう!」
このように、「やおいかん」を労いの言葉として使用されることも多々あります。
やおいかんの使い方③
「あの人はやおいかんけんね。」
標準語:「あの人は気難しい人だからねぇ」
人の性格を表す際にも使用されます。「気難しい・やっかいな」という意味合いで使用されることが多いです。
「やおいかん」のまとめ
ここまで「やおいかん」ついて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
最後に「やおいかん」についてまとめておきます。
・「やおいかん」とは「簡単にはいかない、きつい、大変である、(あの人は)気難しい」という意味。
・熊本や福岡を中心とする方言。類義語に「とつけむにゃあ」がある。
以上、「やおいかん」の解説でした。