「すーすーすっけん、あとぜきばせんかっ!」
このように使われる「あとぜき」という言葉をご存知でしょうか?
熊本で最もポピュラーな方言のひとつである「あとぜき」
老若男女問わず熊本県民の多くは、この「あとぜき」を標準語だと認識して日常的に使用しています。
熊本県の公共施設やスーパー、理髪店等のお店に入れば、その出入口に「あとぜき」と書かれた注意書きがあることも多々あります。
今回はこの「あとぜき」について解説します。
「あとぜき」とは?
熊本弁で使用される「あとぜき」は「扉を開けたあとは閉めてください」という意味です。
語源は「開けたあとをせく」という古語が名残と言われています。
「せく」とは、漢字で表記すると「堰く」と書き、「塞ぐ、閉める」といった意味で使用されていました。
【熊本・アトゼキ】出入りのために開けたドアをちゃんと閉めること。後を堰く(塞ぐ)が語源と考えられる。熊本限定の言い方でドアをきちんと閉めないと「あとぜき!」と声をかけられる。公共機関の張り紙でも「解放厳禁・あとぜき」などと書かれる。 pic.twitter.com/KhPg0Cu6np
— 奇祭ファン倶楽部(KFC) (@clubkisai) October 7, 2018
九州各地でも「せく」は「閉める」の意味で、今も方言として使用されていますが、「あとぜき」は熊本独自の方言。
熊本には他にも「あと」がつく方言として尻ぬぐいをする意味の「あとじり」や、後始末をするという意味の「あとざらい」があります。
何かをした後は、きちんと片付けるものだ、という熊本の県民性が背景にあることから、今も方言として熊本県だけに伝わっているのかもしれません。
若者が使用する「あとぜき」の意味
最近では、若者を中心に、文末に「あとぜき」と記載し、「おしまい、さようなら」といったニュアンスで使用されることもあります。
「開けた扉を閉める」という情景が「帰る」に結びついたことが、このような新しい使い方に発展していった要因として考えられます。
今夜もお疲れ様でした。
( ・∇・)ノシ♪また来週です。
あとぜき~☆(ゝω・)ノシ #sorayo— 南海飴ちゃん (@nankaiamechan) April 26, 2020
次は「あとぜき」の使い方をみていきます。
あとぜきの使い方
あとぜきは以下のように使います。
「あとぜき」の使い方①
「あなた、ドア開けっぱなしで寒いわ。あとぜきしてっ!」
標準語:ドアが開けっぱなしだと風が入って寒いです。開けたドアはきちんと閉めてください。
「あとぜき」の使い方②
「すーすーすーっけん、あとぜきばせんか!」
標準語:すきま風が入ってきて寒いので、開けたドアは閉めなさい。
「あとぜき」の使い方③(メール等の文章にて)
「今日も楽しかったね~♬それではアトゼキ!」
標準語:今日も楽しい一日でした。それじゃあ、またね!
「あとぜき」のまとめ
ここまで「あとぜき」について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
最後に「あとぜき」についてまとめておきます。
・「あとぜき」とは「開けたら閉める」の意味。
・「あとぜき」の語源は「あとをせく」
・現在では転じて、「さようなら」等の意味合いでメールやSNSの文末の結びとして使用されることもある。
以上、「あとぜき」の解説でした。